
「聞こえ」の仕組み
普段、意識することなく感じることができる”音”。この”音”の正体は”空気の振動”です。音の強さを表す単位としてPa(パスカル)やdB(デシベル)が用いられます。
健聴者であれば0~120dBの音の強さが聞こえます。ですが、加齢やその他障害により聞こえる音の強さは低下してしまいます。
耳の役割
耳の構造は、鼓膜より外側の”外耳(がいじ)”、鼓膜より内側の”中耳(ちゅうじ)””内耳(ないじ)”に分かれます。
・外耳
耳介(じかい)と呼ばれる部分で音を集めて、外耳道(がいじどう)を通して音を鼓膜(こまく)に届けます。音の方向感を得る役割も持っています。
・中耳
鼓膜より奥の部分。外耳で集めた音を増幅してさらに奥の蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる部分まで音を届けます。
・内耳
中耳で増幅された音は、蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる部分で電気信号に変換されます。電気信号に変換された音は聴神経を通り脳に伝えられます。
難聴の種類
難聴には3つに種類があり、障害の起こっている箇所で分類されます。
1伝音難聴
音を伝える外耳や中耳の障害で発生する難聴です。音量に対する感度が低下して、小さな音が聞こえにくくなります。中耳炎や鼓膜の損傷などでなることが多く、医学的な治療が可能な場合があります。
2感音難聴
音を感じる内耳から聴神経、脳までの間の障害で発生する難聴です。神経系の障害のため、言葉の理解力が低下します。長時間騒音にさらされるために起こる騒音性、加齢とともに聴力が低下する加齢性の難聴があります。
治療や手術による聴力改善は非常に困難です。
3混合性難聴
伝音難聴と感音難聴、両方の原因によって発生する難聴です。
難聴の種類によって適切な補聴器の種類、調整は異なります。
年齢と聴力の変化
眼と同じように、加齢とともに聴力も低下していきます。加齢による聴力の低下は40歳代から始まります。”高い音”ほど低下が早く、さ行(さ・し・す・せ・そ)などの子音の聞き取り間違いが増えていきます。
また、難聴になると認知症を発症するリスクが高くなるといわれており、難聴が認知症の危険因子の1つとして挙げられています。
加齢による聞こえは徐々に低下するため、本人も自覚症状を感じにくいといわれています。少しでも”聞こえ”に不安を感じるようであれば、早めのご相談をおすすめします。