”色”の見え方は人それぞれ違う!?『色覚多様性』とは
普段気にすることなく見ている様々な”色”。実は人それぞれ”色”の見え方は違っているのをご存知ですか?
男性よりも女性の方がより細かい色の判別ができると言われています。また、人によっては特定の色の判別が難しいことも。
今回のHutPRESSでは”色の見え方”から、個々の『色覚多様性』についてご紹介致します。
実は3色しか見えていない?
まず『色の見え方』ですが、全ての色は『赤・青・緑』の3原色を混ぜ合わせることで再現することができます。
TVなどの液晶も、拡大すると赤・青・緑の3色で構成されています。(最近のTVなどは4色などもあります)
人間の眼も同様に、赤・青・緑の色を感じるそれぞれの細胞が眼の中にあります。フィルムの役割をしている”網膜”という部分にある錐体細胞がその細胞です。赤を感じる錐体細胞をL錐体、緑をM錐体、青をS錐体としています。
そのため、厳密に言えば人間は3色の色のみ見ており、その3色を混ぜ合わせることで様々な色を感じることができています。
前項で”女性の方がより細かい色の識別ができる”と記述しましたが、これは3色の混ぜ合わせ能力が優れていると言えます。
逆に男性は女性より”動体視力”が優れていると言われています。
一説には、狩猟を行っていた男性側の特性と、採集を行い色で安全性を確かめていた女性側の特性があると言われています。
『色覚多様性』とは
色を感じる細胞、錐体細胞の働きによって様々な色を感じるわけですが、中には特定の錐体細胞の働きが弱い方や、機能していない方もいらっしゃいます。かってはそうしたことを『色盲』・『色弱』・『色覚異常』と言っていました。
ですが、実際には日本人の男性で5%、女性で0.2%(西欧の地域では9%も)おり、日常生活に大きな不便さもないことから2017年9月に遺伝学会の用語改訂で『色覚多様性』とも呼ばれるようになりました。
色覚多様性の分類
赤・青・緑の各錐体細胞の内、どの細胞の働きが弱いのかで分類が行われています。
・異常3色覚
赤・青・緑のいずれかの1つに異常があります。ですが、見え方としては正常色覚と大きな違いがあるわけではなく、全体的にくすんだ色で見えると言われています。
・2色覚
赤・青・緑の内、1つの錐体細胞が欠損しています。上記の異常3色覚と合わせて、赤の錐体細胞(L錐体)の異常・欠損を1型、緑(M錐体)を2型、青(S錐体)を3型と分類しています。
・錐体1色覚
赤・青・緑の錐体細胞のうち1つだけが正常に機能しています。極めて稀と言われています。
・杆体1色覚
全ての錐体細胞が生まれつきないことで、明暗を識別する杆体細胞は正常に機能しています。
これらの色覚多様性については遺伝による先天性と、眼病などが原因となる後天性があります。白内障や緑内障、網膜疾患などが挙げられます。
白内障は加齢とも密接に関係してきますので、加齢によって色覚に変化が出てくるとも言えます。
進学や就職に影響は?
先天性の場合、視力に影響を及ぼすことはありません。遺伝学会での”日常生活に大きな不便さもない”ということから進学・就職に対しても現在は大きな影響はありません。
ただ、微妙な色の判別が必要となる職業や、料理師学校では制限があることもありますので注意が必要です。